ラブ アゲイン
サイドテーブルの電球色の優しい灯りが、濱田の真横から当たり、彫りの深い顔立ちを引き立てる。

菜々は俯き、自分の膝の上に置いた手を何となくぼんやりと見つめた。

「菜々?こっち見て」

濱田はその菜々の手を取り、下から見上げた。

「はっ、話って、な、何?」

自分の上ずった声に驚いたが、それ以上にいきなり掴まれた両手に意識が集中する。


「……菜々にとっては過去の事かもしれないけど、俺にとっては、進行形で……
だから、今日はハッキリさせたいんだ」

真剣な眼差し、吸い込まれそうになる。

はっきりさせたいって……何を?

「あの時、どうして俺の前から姿を消した?」

えっ?

「初めはいつもの癇癪か機嫌が悪い位にしか思ってなかった。
だから気にも留めなかった。少し時間を置いて連絡入れたけど繋がらない。
だから、そっちがその気ならって、今度はこっちが切れて……
けど、卒業式に菜々は現れなかった。
何かあったのかもしれない、俺は慌てて携帯鳴らしたけど、着信拒否されて……

もう、何が何だか分からなかった。
菜々の実家に行ったら、引っ越した後だった。
『ごめんねぇ、引越し先口止めされてるのよ、濱田君にまで、あの子ったら何考えてるんだか…』
おばさんは申し訳なさそうに言ってたけど、結局教えてはもらえなかったんだ、菜々の引越し先」


濱田は一気に喋った。


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