ラブ アゲイン
「クリスマスだって、あたしには楽しむ余裕なんて持てなくて、渉ちゃんに嫌な思いさせたよね。
暴言吐いたり、無視したり、なのに、渉ちゃんは全然気にしてなさそうで。
自己嫌悪に陥ったし、お正月やバレンタインも逢わないですむ事ばっか考えてた。
遭わなきゃ、八つ当たりしないですむ、あの時はそんな事思ってた。

……渉ちゃんはどんなあたしも受け入れてくれる、だったら焦らず、ゆっくりバイトしながら正社目指そうかなって、甘えた考えがよぎった時、渉ちゃん、言ったんだよ…」

濱田はいつの間にか菜々の横に移動していて、俯きながら必死に言葉を紡ぐ菜々の背中に手を回し、優しくポンポンと叩いた。


「……なんて？」



「女は腰掛けの仕事しかしないんだから、就職しなくてもよくないかって……」

「えっ？」

濱田は驚いた、まさか菜々がそんな風に受け止めていたとは思いもしなかったから。

膝に乗せた両手をグッと握り締める菜々。
パジャマのズボンにポタポタと菜々の涙が零れ落ち、ドット模様を描いていく。


「まるで就職する事が…無駄だって…聞こえた……頭が真っ白になって、……直ぐに怒りが込み上げて、……部屋を飛び出し…たんだ」

込み上げる喉を吐く痛みを堪えながら、途切れ途切れに言葉を発する。

「……ごめん」

濱田は菜々をギュッと抱き締めた。

ごめん、また小さく呟いて抱き締めた腕に力を込める。

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