太陽と月
1、佐和子

ブラインドの隙間から差し込む光が不快で目が覚めた。
壁掛けの時計は11時を指している。

ーー寝過ぎかな?

佐和子は重い身体を起こし冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと一気に飲み干した。
ひどい頭痛だ。

鞄から手帳を取り出す。
真っ赤なLOUIS VUITTONの手帳は仕事の予定で埋め尽くされている。
高校を出て働き始めてから、毎朝手帳で仕事の確認を日課としている。

「結局、5年も使ってる。」

自嘲気味に呟き、佐和子はその使い慣れた手帳をまた鞄に突っ込み5年前のことを思い出していた。
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