あなたの傍に居させて
何事もなく打ち合わせは進んでいるように見えた。

しかし、よくよく見れば、神城社長はただ頷いているだけで、高橋専務の話に耳を傾けている様子はない。

高橋専務から話を振られそれを説明しても上の空にしか聞いていない。



「神城社長、おわかりになりましたか?」



そう尋ねれば、



「もうええわ。後は蓮、好きなようにしい。」



そう言い放ち、席を立とうとした。



「待ってください、神城社長。どうなさったんですか?」


「もうええ言うてるねん。蓮の好きなように進めたらええよ。最終の出来上がりだけチェックするわ。」



私はその神城社長の態度に納得がいかなかった。

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