好きだけど、近づかないでくださいっ!
もちろん、三園さんたちも戸惑っている。そして、康介くん、もとい課長はピタッと彼らの前で足を止めた。


「・・・三園、おめでとう。よく頑張ってたもんな、お前。いろいろと嫌な思いもさせたかもしれねえけど、お前らとはまた仲良くしたいと思ってる。やっぱり、俺さお前らのこと、大事な同期だと思ってるからさ」


康介くん。みんながざわつく中、私一人がボロボロと涙を流していた。

勇気、出したんだ。少し、緊張していた声がまた余計に彼の頑張った証。


「・・・俺らもごめん。嫌な思いさせてさ。妬ましかったんだ。でも、康介のことはずっと気にかけてた。また、みんなで飯、行こうぜ」


少し、涙ぐみながら同期の四人が肩を寄せ合う姿に鳴り止まない拍手。


もう、止まらなかった。スキサケがなんだ、恥ずかしいとか、傷つきたくないとか、怖いとか、そんなのもう今は後回し。

今は、今はただ、あの人に触れたい。
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