好きだけど、近づかないでくださいっ!
「か、課長?」


全く身動きが取れない。お腹が熱いし、心臓はバクバクしている。

普通に好きな人に壁ドンをされたらドキドキして胸が高鳴るはずなのに、今の私はそんな余裕なんてない。


今すぐ、離れなきゃどうなるかわからない。


「なあ、戸松。突然態度を変えられたら誰だっていい気しないだろう?言えよ。俺だって気になるんだよ」


気になる?
それってもしかして、私のこと・・・


なんてそんな大それたこと聞けるはずもなく、かと言ってあなたのことが好きだから避けてますなんて言えるはずもない。

何かそれに代わる答えをと頭の中で考えていると目の前から聞こえてきた大きなため息。


あっ、また嫌われる。
それが分かったから俯いて瞳を閉じた。それなのに・・・


「お前がそんな態度なら俺にも考えがある。お前が避ければ避けるほど俺は追いかけるし、捕まえる」


「えっ?」


「覚悟してろ。お前には最大の嫌がらせをしてやるから」
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