好きだけど、近づかないでくださいっ!
「・・・会社での俺は好きだけど、今の俺は好きじゃねえって?お前、それただ憧れて、ミーハー気分なだけじゃねえかよ。そんなしょうもねえ感情を仕事に持ち込むんじゃねえよ」

「しょうもない?しょうもなくないです。しょうもなかったら悩んでません。これでも真剣に悩んでいるんですよ。好きな人ができるたびに、避けて嫌われる。こんな私の辛い気持ちが分かりますか?」

気がつくと、ファミレスの中にいるお客さんは数名。それでもヒートアップして大声をあげてしまった私たちは立ち上がり、周りに軽く会釈をした。

「で、それは何がきっかけなんだよ?なんかきっかけがあって始まったんだろ?初恋とかそんなんか?」

「まあ、そんなもんですね」

二人の間に沈黙が走る。
さっき入れ直してきたメロンソーダはもう氷が溶けて薄くなって飲めない。

でも、なんだかいたたまれなくて新しい飲み物でも入れ直してこようかと立ち上がった。

「ミルクティーか?俺のも頼む」

いつもはコーヒーを飲んでる人がミルクティーなんて飲むんだ。わかりましたとドリンクバーに行き、二人分のミルクティーを淹れて席に戻った。

「ミルクティーなんて本当いつぶりだろうな。で、お前はどうしたいんだよ?そのスキサケ、治したいのか?」

「・・・治したいです。でも、治し方なんてわかりません。今まで、今度こそはって思って避けないようにしようと思うんですが、やっぱり避けてしまう」
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