好きだけど、近づかないでくださいっ!
今日は明日のために、新しい服を買いに行きたかった。でも、課長に懇親会になんて行って欲しくない。

あの子、下着買ってきたのかな。

グルグルとそんなことが頭の中を駆け巡りつつ、どんどんと終業時間が近づいてくる。

どうしよう。こんなときにはいはいおじさん、残業を言い渡してくれないかな。とチラッと部長を見るも全くそんな気配はない。

どうしよう。本当にこのままじゃ、あの子の色仕掛けに。

スキサケのことよりも、課長に懇親会に行って欲しくなくて。意を決して立ち上がった。

「か、課長、あの・・・」




「えー!課長、懇親会来られないんですか?」

「ああ、どうしても仕事が終わりそうになくて。でも、君たちはせっかく来たんだ。楽しんできなさい」

「梨花、課長がいないなんて寂しくて泣いちゃいそうです」

「・・・そうか、それは悪いな。でも、ここの仕事を放り出して、懇親会には行けない。また機会があれば、そのときは頼むな」

結局、私は課長にサボっていた間の仕事が終わりそうにないと、残業を申請した。

当然、私だけで残業するわけにはいかず、課長も必然的に付き合わせることになる。

ごめんなさい、パンツ女さん。
スキサケでろくな彼女じゃないし、ていうか彼女としても思われていないかもしれないけれど、やっぱり嫌。

課長の言葉に不服を言いつつも、まだ瞳にハートマークが残るパンツ女さんに心の中で謝った。
< 76 / 113 >

この作品をシェア

pagetop