好きだけど、近づかないでくださいっ!
「な、何するんですか?」

「嫌がらせ。お前にこれを外すことは無理だろ?」

甘すぎる嫌がらせ。確かに外せない。でも、それは外したくないという気持ちも芽生えている。

ただ、やっぱり、お腹の底が熱くなって苦しいから課長の姿を見ることは出来ないけれど。

「どうした?今日。突然いなくなっただろ?」

そう尋ねられて、答えることができなかった。嫉妬して傷ついて、仕事ができなかったからなんて格好悪くて言えない。

「言えないことか?それはこの飾りに関係あるのか?まさか戻ってきたと思ったら・・・すごい可愛くなってるから戸惑った」

「・・・可愛くなんて、ないです。だって、彼女じゃないし」

言うつもりじゃなかったのに、言ってしまった。拗ねていることが丸わかり。

「だって、お前の彼氏は俺じゃないだろ?」

俺は間違っていないみたいに言う課長の言葉につい振り向くと意地悪に浮かべる笑み。

「お前の彼氏は、俺様で口調の悪い椎野康介で、エレメントの課長の俺じゃない」

「どうして、そんな意地悪言うんですか?」
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