好きだけど、近づかないでくださいっ!
そして、気がつくとそれを隠すために避けることが当たり前になっていた。

だから、こんな風に好きな人と会話をするなんて、今まで考えられなかった。

「・・・少しは、改善されているってことなのかもしれないな」

「ん?なんか言ったか?」

「い、いえ。明日楽しみだなと」

「水族館なんてガキの頃以来だな。どちらかというと俺は見るよりもやりたいほうだからさ」

「や、やりたい?」

「バ、バカ。変態。何考えてんだ。そうじゃねえよ。まあ嫌いじゃねえけど」

「変態は、課長のほうじゃないですか!」

「あはは。でも、その言い方やめろよな、変態課長みたいだろ。それに、今の俺はどう考えても課長じゃねえだろが?」

今までの私なら少しでも、スキサケが発動したらそれに従って避けることが当たり前になっていた。

だけど、この人に関してはそれにも負けず、もっと話したい。触れていたい。一緒にいたい。そう思う気持ちがある。

もしかしたら、このままいけば本当にスキサケが克服できるかもしれない。

そう思っていたのに、この体質は簡単にはいかないくらい厄介なものだった。
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