好きだけど、近づかないでくださいっ！
「じゃあまた明日な。八時に迎えに来るから」

「はい。楽しみにしてます」

家まで送ってもらい、車を降りる。運転席から顔を出す彼を見ても、いつも通りのスキサケに少し我慢すればいいくらい。

「・・・なあ、明日、俺の家泊まりに来るか？」

「えっ？と、泊まり？」

「嫌いじゃねえって言っただろ？いや、むしろ好きかもしれない。ダメか？」

それって、そういうことだよね？今でもスキサケを我慢しているのに、そんなことになったら私・・・

「な、何言ってるんですか。無理ですよ、無理」

とんでもないとばかりに大きく首を振り、否定する。だって、私はスキサケだから。そんなことになったら、もうどうなるか検討もつかない。

そんな私にきっと、また嫌がらせだと強制するものだと思っていたのに彼の表情は暗くなった。

「そ、そうだよな。無理だよな。だってお前が好きなのは課長である俺であって、俺自身なわけじゃねえもんな」

「えっ？」

悪かった、忘れてくれ。そう言って少しだけ寂しそうに笑って帰って行った康介くん。
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