好きだけど、近づかないでくださいっ!
車内では大吾くんが、康介くんの話を楽しく聞かせてくれて、その度に、康介くんが俺様口調で怒鳴るからつい、スキサケのことも忘れて笑いが止まらなかった。

「はい、割引チケット。で、ここからは別行動ね」

出発して、二時間。途中何度か休憩を挟んで、ようやく着いた水族館。

入り口で那月から割引チケットを受け取るとあたかも、最初からそうするつもりだったとばかりの那月の発言。

ここまでは二人きりじゃなかったし、楽しかったけれど、突然二人きりなんて無理。

ただでさえ、昨日あんなこともあったし、それにまたスキサケが酷くなったら・・・。

「あっ?例のアレ?心配しなくてもとっておきのもの持ってきたから」

私が那月に駆け寄り、さすがに二人は無理だと抗議をすると、那月は待ってましたと不敵な笑みを浮かべた。


そして、ポケットに忍ばせていたものをさっと、取り出して私と康介くん、それぞれの手にそれを付けた。
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