好きだけど、近づかないでくださいっ!
スキサケ、本当に克服できたかも?


さっきから少しくらい胸はドキドキするけれどいつもみたいに逃げたいっていう思いはない。

それよりもこんな風に二人で一緒にいろいろとすることが楽しくて仕方がない。

「あっ、かかった。いきまーす」

結局、釣り上げることができたのは一匹だけ。針が折れちゃってそれ以上はできなかった。それでも一匹だけでも釣り上げられたんだから満足、満足。

「・・・さすがにこれだけ頼むのは、あれだしこれも頼むか」

アジの天ぷらを揚げてくれる場所に釣った一匹のアジを持って行ったのはいいけれどなんとなく一匹って頼みづらくてついでにイカの天ぷらも一緒に注文することにした。

二人とも遠慮して、あえてイカの天ぷらばかり食べていたらあっという間にもうイカの天ぷらはなくなってしまった。

「これは、お前が食え。頑張ったご褒美だ」

「な、何言ってるんですか。これは康介くんのおかげで釣れたので食べてください」

「いいから、食えって言ってんだろ。ほら、口開けろ」


躊躇う私の口元に自分の箸を近づけて口を開けろと言われ、ゆっくりと口を開くと、鯵の天ぷらが入れられた。
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