針子道中
一章
いつの時代の男も女も愛に飢えている。
これは私がまだ七つだった頃。
私の事を可愛がってくれていた女の人が最後に会った時に言っていた言葉。
私にはまだむずかしくてわからなかったから
その"女"と言うのに、私も入っているのかと尋ねたら、今まで見たこともないくらいに美しい顔で笑って、
その質問には答えてくれなかった。
次の日、その女の人は近くの店の既婚者である若旦那と川のほとりで変わり果てた姿で見つかった。
あの言葉の意味はなんだったのだろう。
今となってはもうわからないーーー。