エリート上司と偽りの恋
ーー
「ただいまー」
ひとり暮らしを初めて七年目、誰もいない部屋に向かってそう言うのが日課になっている。
いつものように家にある食材で軽くご飯を済ませシャワーを浴びた私は、冷蔵庫から梅酒の缶を取り出した。
ベッドの前に座り梅酒をひと口飲んでから、自分のスマホを眺める。
主任からもらった紙にはプライベートの電話番号と【電話待ってる】というメッセージが書かれていた。
主任は私の番号を知らないから、プライベートで連絡を取るには私から電話するしか手段がない。
亜子さんが言ってたじゃん。『一回向き合ってみたら』って。
どうして主任が私を好きだと言ってくれるのかは分からないけど、私はもうきっと……主任が好きなんだ。
確かに最初はかっこいいから気になってたけど、主任の仕事に対する姿勢とか、たまに見せる優しい顔とか、私をドキドキさせる仕草や言葉に、もうとっくに私の心は奪われていた。
かといって自信がない私は、好きですなんて簡単に言えない。
スマホとメモ用紙を見比べること三十分、意を決して通話ボタンを押した。
「あ、遅くにすいません。加藤です」
『電話してくれたんだね。ありがとう』
電話越しに伝わる主任の声は、会社で聞く声と全然違うように感じられた。
「いえ、あの……」
電話待ってるって書いてあったから勇気出してかけたけど、なにを話せばいいんだろう……。
「ただいまー」
ひとり暮らしを初めて七年目、誰もいない部屋に向かってそう言うのが日課になっている。
いつものように家にある食材で軽くご飯を済ませシャワーを浴びた私は、冷蔵庫から梅酒の缶を取り出した。
ベッドの前に座り梅酒をひと口飲んでから、自分のスマホを眺める。
主任からもらった紙にはプライベートの電話番号と【電話待ってる】というメッセージが書かれていた。
主任は私の番号を知らないから、プライベートで連絡を取るには私から電話するしか手段がない。
亜子さんが言ってたじゃん。『一回向き合ってみたら』って。
どうして主任が私を好きだと言ってくれるのかは分からないけど、私はもうきっと……主任が好きなんだ。
確かに最初はかっこいいから気になってたけど、主任の仕事に対する姿勢とか、たまに見せる優しい顔とか、私をドキドキさせる仕草や言葉に、もうとっくに私の心は奪われていた。
かといって自信がない私は、好きですなんて簡単に言えない。
スマホとメモ用紙を見比べること三十分、意を決して通話ボタンを押した。
「あ、遅くにすいません。加藤です」
『電話してくれたんだね。ありがとう』
電話越しに伝わる主任の声は、会社で聞く声と全然違うように感じられた。
「いえ、あの……」
電話待ってるって書いてあったから勇気出してかけたけど、なにを話せばいいんだろう……。