エリート上司と偽りの恋
九月十一日、日曜。
自宅マンションの下にいる私は、入り口のガラスに何度も自分の姿を映し、そのたびに髪の毛を少し整える。
十四時を少し過ぎたとき、通りの奥から白い車が近づいてきた。
もしかして、あれかな……。
車が見えるたびに同じことを思ってドキドキしていたけど、その白い車は今度こそ本当に私の前で止まった。
運転席から出てきた主任を見て、私は思わず息をのんだ。
白いTシャツに紺色の七分袖のシャツ、黒いパンツ姿の主任。いつものスーツ姿も素敵だけど、今日はその何倍もかっこよく見える。
この日の為に買った白のフレアスカート。私も一応精いっぱいのお洒落をしてきたつもりだけど、主任が爽やか過ぎてこの人の隣に並ぶのをためらってしまう。
「ごめんね、遅くなって」
「いえ……」
「どうぞ」
助手席のドアを開けてくれて私が車に乗り込むと、静かにパタンとドアを閉めた。
こんなの、テレビでしか見たことないよ。
ニューヨークじゃこんなふうにするのがあたり前なのかな。
「どこか行きたいところある?」
「特には……」
「じゃーどこでもいい?」
「はい、お任せします」
どこに行くんだろう。こうやって相手に全てを任せて行き先も分からずついていくデートって、なんかドキドキする。
「喉乾いてない?」
「いえ、大丈夫です」
ていうか男の人の車に乗るのも久しぶりで、どうしたらいいんだろう。
手は膝の上でいいのかな……。視線は?ずっと前を見てるのが正解?
静かすぎて、緊張している私の胸の鼓動が主任に聞こえちゃう気がするし……。
自宅マンションの下にいる私は、入り口のガラスに何度も自分の姿を映し、そのたびに髪の毛を少し整える。
十四時を少し過ぎたとき、通りの奥から白い車が近づいてきた。
もしかして、あれかな……。
車が見えるたびに同じことを思ってドキドキしていたけど、その白い車は今度こそ本当に私の前で止まった。
運転席から出てきた主任を見て、私は思わず息をのんだ。
白いTシャツに紺色の七分袖のシャツ、黒いパンツ姿の主任。いつものスーツ姿も素敵だけど、今日はその何倍もかっこよく見える。
この日の為に買った白のフレアスカート。私も一応精いっぱいのお洒落をしてきたつもりだけど、主任が爽やか過ぎてこの人の隣に並ぶのをためらってしまう。
「ごめんね、遅くなって」
「いえ……」
「どうぞ」
助手席のドアを開けてくれて私が車に乗り込むと、静かにパタンとドアを閉めた。
こんなの、テレビでしか見たことないよ。
ニューヨークじゃこんなふうにするのがあたり前なのかな。
「どこか行きたいところある?」
「特には……」
「じゃーどこでもいい?」
「はい、お任せします」
どこに行くんだろう。こうやって相手に全てを任せて行き先も分からずついていくデートって、なんかドキドキする。
「喉乾いてない?」
「いえ、大丈夫です」
ていうか男の人の車に乗るのも久しぶりで、どうしたらいいんだろう。
手は膝の上でいいのかな……。視線は?ずっと前を見てるのが正解?
静かすぎて、緊張している私の胸の鼓動が主任に聞こえちゃう気がするし……。