エリート上司と偽りの恋
車を走らせること約一時間。目的の場所に到着した。
「ここって……」
「忙しくてなかなか行けないんだけど、好きなんだ、水族館。日本に戻ったら行こうって決めてたから。ここでよかったかな?」
「はい、私も水族館好きです」
車を降りると、眼鏡を外した主任が立ち止まって私を見ている。
「主任?」
「あのさ、その主任っていうの今日はやめない?主任って言われると、手繋ぎにくくなるから」
手……繋ぐのは、決定事項なんですね……。
「分かりました。じゃあ、篠宮さんで……」
「うーん、まぁいいか」
そう言ってしゅに……篠宮さんは、私の手を握って歩きだした。
手に汗をかいてしまうんじゃないかと思うと、余計緊張してしまう。
チケットを買った私たちは、早速中へ入った。
水族館の静かで少し暗い中、水が時々キラキラ反射して見える水槽をゆったり泳ぐ魚たち。
なんだか時間がゆっくり流れているような気がして、不思議な気持ちになる。
色とりどりの小さな魚を見て回ると、一際大きな水槽の前に人だかりができていた。
「イワシの群れだって。これからなにか始まるみたいだ」
篠宮さんは私の手を引き、少しだけ空いた隙間に私の体を入れてくれた。
私のうしろに立った篠宮さんは一瞬手を離したかと思ったら、そのままうしろから……私の体を覆うようにして両手を握った。
篠宮さんの体が私の背中に触れるたび、恥ずかしいのとドキドキが交互に私を襲ってくる。
それに、目の前のイワシの群れとプロジェクションマッピングがあまりにも綺麗で、この光景をふたりで見てるんだと思ったら……なんだか自然と、泣けてきた。
「ここって……」
「忙しくてなかなか行けないんだけど、好きなんだ、水族館。日本に戻ったら行こうって決めてたから。ここでよかったかな?」
「はい、私も水族館好きです」
車を降りると、眼鏡を外した主任が立ち止まって私を見ている。
「主任?」
「あのさ、その主任っていうの今日はやめない?主任って言われると、手繋ぎにくくなるから」
手……繋ぐのは、決定事項なんですね……。
「分かりました。じゃあ、篠宮さんで……」
「うーん、まぁいいか」
そう言ってしゅに……篠宮さんは、私の手を握って歩きだした。
手に汗をかいてしまうんじゃないかと思うと、余計緊張してしまう。
チケットを買った私たちは、早速中へ入った。
水族館の静かで少し暗い中、水が時々キラキラ反射して見える水槽をゆったり泳ぐ魚たち。
なんだか時間がゆっくり流れているような気がして、不思議な気持ちになる。
色とりどりの小さな魚を見て回ると、一際大きな水槽の前に人だかりができていた。
「イワシの群れだって。これからなにか始まるみたいだ」
篠宮さんは私の手を引き、少しだけ空いた隙間に私の体を入れてくれた。
私のうしろに立った篠宮さんは一瞬手を離したかと思ったら、そのままうしろから……私の体を覆うようにして両手を握った。
篠宮さんの体が私の背中に触れるたび、恥ずかしいのとドキドキが交互に私を襲ってくる。
それに、目の前のイワシの群れとプロジェクションマッピングがあまりにも綺麗で、この光景をふたりで見てるんだと思ったら……なんだか自然と、泣けてきた。