エリート上司と偽りの恋
もうひとりの私
◇
二〇〇九年十月一日、私は明日二十二歳になる。
付き合って半年、大学生活最後の誕生日に彼がくれたものは……。
『あ~マジ、ごめん。やっぱり俺たち合わないかも』
『え、どうして?』
『ていうかハッキリ言ったほうがいいよね。俺、結衣ちゃんのことが好きだったんだ。でも振られたから、似ている麻衣と付き合った』
史上最悪のバースデープレゼント。
『でもやっぱ違ったっていうか、ほんとごめんね』
違うに決まってる。私は私で、結衣は結衣なんだから……。
涙なんか出ない。なんとなく分かっていたから〝あー、またか〟そう思うだけ。
あんたなんか、振られるにきまってるじゃん。結衣は優しい人が好きなんだから。
私と違って、顔で好きになんかならない。
私と違って……。
◇