この恋、理由はいりません
「はじめまして。立花さんだよね」
「はい、そうです。これが…」
「いや、いいよ。いらない」
名刺を出そうとする前に、微笑みながら断られる。
『では』と椅子に腰をかける。周りの声が少々うるさい。
「なにか、飲み物は入りますか?」
「じゃあ、コーヒーをいただこうかな」
「すいません。コーヒーを一つお願いします」
気前のよさそうなお兄さんが『かしこまりました』と去ったと同時に強い視線を感じた。
「…何でしょうか?」