この恋、理由はいりません
「…質問は以上です。ありがとうございました」
一礼をし会社に戻ろうとすると、腕を掴まれる。
「待って。名刺やっぱり貰おうかな」
「ああ、待ってください」
カバンの中の名刺ケースから一枚取り出し、差し出すとそれをじっと見つめる嗣永部長。
「…連絡先が書いてないけど」
「必要ないと思いますが」
「必要だよ。また、取材があったら連絡しやすいだろ」
「しばらく取材はないと思いますが」
「俺が社長になったら連絡しにくくなるし、今聞いといたほうが賢明だと思うけど」
「…はあ」
そう言われ、無理矢理連絡先を交換させらる。