この恋、理由はいりません
取材する対象になるのはわかる。
でも、どうして年度変わり前のこの忙しい時期に社内の取材なのか。
小さくため息を吐いた。それが、自分にされたものだと思ったのかヒートアップする吉岡さんの怒鳴り声。
…うるさい。
菊田課長に聞いたら、『質問してほしいことはまとめて渡すから。それでわかるよ』と言われた。
「ちょっと!聞いてるの!?」
「−−−っ」
話を聞かない私が気に障ったらしい吉岡さんは私の二の腕を勢いよく掴んだ。
鋭い爪が洋服の上からでも皮膚に食い込む。