完璧なカノジョの秘密
「俺、先輩の事が心配になって……」
「そうだったの……」
なんて優しい後輩なの。
それに、私を様づけで呼ばない所もいい。
「ありがとう、有谷君」
「いいえ、先輩の為ですから!」
そう言って「フッ」と笑う有谷君は、モデルなだけあって、カッコイイ。
まぁ、私には清人の方が何倍もカッコ良く見えるけど。
「あ、先輩!噂をすれば、あれが美樹ですよ!」
「え!?」
有谷君は私達のすぐ目の前を指差す。
すると、そこには、セミロングくらいの茶髪に、かきあげ前髪の美樹さんと、その目の前に立つ、清人がいた。
「え、清人!?」
つい大きな声を出してしまい、慌てて手で口を覆う。
少し距離があったからか、2人は気づいていないみたいだった。
「もしかしたら、美樹が何か仕掛けてきたのかも…」
「そんなっ……でも、清人の事が好きなら、清人は安全なんじゃ……」
「分からないですよ、何にせよ、止めた方が良いと思います!」
あまりにも、有谷君の顔が必死だったから、私はなんだか不安になった。
「わ、分かったわ……止めてくる!」
私は、有谷君に言われた通りに、2人に恐る恐る近づいた。
なんて、声かけよう……。
そうだ、ただ自然に清人を呼ぶフリをして、拉致すれば…。