完璧なカノジョの秘密
「まりあ、お前おかしいぞ。秋野の顔見てたら、何か困ってるって分かるだろ!」
「っ…………」
清人は、怒ったように私を見る。
なんで、清人は私に怒ってるの……?
だって、私は清人を助けたくてっ……ただそれだけだよ?
「私はっ……清人の事がっ……」
心配なだけ……だよ……。
ジワリと、目に涙が滲みそうになる。
「ねぇ、お願い……今は信じて、こっち来て…」
弱々しく、それでも願うように清人の服の袖を引く。
それに、清人が息をのんだのが分かった。
「まりあ、信じるって何をだよ?」
「それはっ……ここでは、言えないよ」
だって、美樹さん目の前にいるんだよ?
私は、美樹さんに視線を向ける。
すると、美樹さんは清人の後ろで、「ニヤッ」と笑った。
「っ!!」
やっぱり、美樹さんは確信犯だ。
わかってて、こうして清人に近づいてる。
「清人、行こう!」
その笑みに怒りが沸いて、私は問答無用で清人の手を引こうとする。
「ワガママも大概にしろよ」
ーパンッ
「清人っ!?」
清人は、私の手を振り払い、静かな怒りをくすぶらせた目で、私を睨む。
「意味分からねぇ、お前おかしいぞ」
「そんなっ………」
清人なら、私の事を信じてくれるって、言葉にしなくても、信じてくれるって思ってたのに……。