完璧なカノジョの秘密
「まりあ………」
やめて、そんな困ったように私の名前を呼ばないで。
お願い、その手を振り払ってよ…。
「お…ねがい……」
「………まりあ?」
掠れた声で呟く私に、清人は目を見張る。
傍にいてって言ったじゃない。
なのに、清人は私の傍を離れようとしてる。
「お願い……いか…ないでっ……」
ポロッと涙が溢れて、私は清人を見つめる。
「っ!!」
それを見た清人が、私に駆け寄ろうとした。
ても、グイッと美樹さんが清人を抱きついたまま引き止めたせいで、清人は立ち止まる。
「秋野……まりあ……」
あぁ……清人が困ってる。
ううん、困らせてるのは私だ。
清人は優しいから、美樹さんを助けようとしてる。
そう、誰にでも優しいから……。
私は、俯いて、なんたか自分が情けなくなって、自嘲的に笑った。