完璧なカノジョの秘密
「嫌われたくないから…この人だけって思った人だから…なおさら……」
「だからって、好き勝手する我妻先輩を許すんですか?」
「許す……とかじゃないよ……」
私は俯いて、清人の事を思い出す。
私の隠してきた弱さに気づいてくれて、どんな時も傍にいてくれた。
自然体でいられたのは、清人だけだった。
苦しくて、泣きたくなるくらいに好きなのも、清人だけ。
「私には、清人しかいないから……それ以外の人なんて、考えられないの。だから、どんなに心の距離が離れても、傍にいたい」
自分で言ってて、やっぱり切ない。
そう、心の距離が離れても………私は、清人が好き。
「……どうしてそこまで、綺麗でいられる…?」
「え……?」
そう言った有谷君の話し方は、いつものような敬語じゃなかった。
信じられないモノを見るかのような、有谷君の瞳に、私は首を傾げる。
「それは、私が清人を一度、自分の懐に入れた人だからかな…」
「懐?」
怪訝そうな顔をする有谷君に、私は頷く。
「この人は、何があっても信じられる…確かな絆を感じられる、大切な人だって思える人…」
それは、友達だったり、家族だったり、そして……恋人だったり。