完璧なカノジョの秘密

「俺は、そんな綺麗でいられない。目的の為なら、なんだってする……。なのに、アンタは我妻先輩にチクったり、しなかった」

「でも、言いそうにはなったけどね」


私は小さく笑う。

あぁ、有谷君は気づいてるかな…。


アンタって私を呼んだり、敬語が無かったり……あの優しい笑顔はないけど、これがたぶん本当の有谷君のような気がした。


「……言えば良かったのに」

「でも、清人を巻き込みたくない、傷つけたくないから…」


でも、本当は苦しくて、気づいてほしかった。

いつも心の中が矛盾して、苦しい。


「変な女……アンタ、相当変わってる」

「ふふっ、有谷君は相当キャラ、変わってるけどね？」

「あ………」


私に言われて初めて気づいたのか、有谷君は慌てたように頭を抱えた。

「わ、忘れて？先輩？」

「いーやーよ。面白いから……ぷっ、ふふっ！」


そう言って、私は久しぶりに笑った。

そんな私を見て、有谷君は目を見開いて固まった。

そして、有谷君は困ったように私を見つめる。