完璧なカノジョの秘密


「美樹が我妻先輩を手に入れる為に色々してたのは気づいてた。我妻先輩がやたら美樹を気にかけてるの、おかしいと思わなかった?」


「うん、清人は、話してくなかったけどね」


清人が、美樹さんの為に何かをしてたのはなんとなしに気づいてた。


「美樹は、自分の男友達に自分を襲わせるふりをして、わざと我妻先輩に助けてもらうよう仕向けたんだよ」

「え………?」

「すえ恐ろしい女だよね。ま、俺も騙されてたんだし、人の事言えないけど」


自嘲的な笑みを浮かべる有谷君に、私は悲しくなる。

そうか、だから清人は理由を話さなかったんだね。

襲われたなんて、誰にも知られたくないはずだから。


だから、そんな優しさを利用して人を傷つける美樹さんが許せなかった。


「でも……有谷君は好きだったんだもん、大切な彼女を信じただけ、そんなに自分を卑下しないで」


「だって、バカじゃん?ありもしない絆信じて、裏切られて……。そんなん、まりあ先輩が一番分かってるはずでしょ」


「有谷君……」


「俺、まりあ先輩を見てたら、いつの間にか自分を見てるみたいでほっておけなかった。だから近づいた、どんなに信じる事がバカな事か、知らしめる為に」



そっか、有谷君は私に自分の姿を見てた。

たから、私に近づいたんだね。

でもそれって、すごく辛いね。

だって、その度に自分の心の傷を思い出して、私と一緒に自分も傷つくんだよ。


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