完璧なカノジョの秘密


有谷君と別れて、教室へと戻ってくると、教室の前に、清人がいた。


私に気づいた清人は、慌てたように駆け寄ってきて、すぐに私の手を掴んだ。


「まりあ、話を聞いてくれ」

「やめて、話す事なんてもう無いよ……」


その手を振り払おうとして、思いの外清人が強く掴んでいた事に気づいた。


「頼む、頼むから……っ」

「………………分かった、少しだけなら」


私は結局断れなくて、清人の後をついていく。

その間も、清人は私の手を話そうとはしなかった。

 

「あそこは、人がたくさんいるから、ここまでくればいいか…」


清人がそう言って連れてきたのは、階段の踊り場だった。

もうじき午後の授業が始まるからか、人はいない。

私は清人の顔を見れなくて、俯いたままだった。


「まりあ………秋野の事、愛梨から聞いた。つか、本人問い詰めたら白状した……」


清人は、震える声でそう言った。

清人も、私と同じように俯いているのに気づく。

もうどれくらい、清人と視線が交わってないんだろう。

思い出せないくらいに 長い間離れていたようにも思えた。




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