完璧なカノジョの秘密

「それだけは、忘れるな」

「っ……」


清人がまた、優しくて、寂しそうな顔で微笑む。

そんな顔しないで、すぐに抱きついて、甘えちゃう。

私は、そっと清人から視線を外して俯く。


ーガタンッ


これ以上いたら、私の気持ちは揺らぐ。

そう思って、私は立ち上がった。


「ありがとう、それから……ごめんなさい」


傷つけて、ごめんなさい。

それから、私……やっぱり、このままじゃいけない。

清人は、きっと私がどんなに突き放しても助けようとしてくれる。


だから、美樹さんとどこかで、話をしないと……。

そう決めて、私は扉へと向かう。


「守ってくれて、ありがとう……」

「まりあ……」


心配そうに私の名前を呼ぶ清人に振り返り、私は微笑む。

今度は、私が清人を守るよ。

恋人じゃなくても、ただ好きだから、守りたい。

そう心に決めて、私は保健室を出た。