恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
今起きてるこれって、現実?

目眩がしてバランスを崩した身体が、門扉に当たる。

ガシャンという音に、旬と紀野君が反射的にこっちを見た。

「瀬里……」

旬は一瞬驚いたように私の名を呼んだけど、すぐに気まずそうに笑った。

「今のはその……冗談だよ」

その時、

「どれだけゲスなんだよ、片瀬」

背後から雪野先輩の声がして、彼以外の全員が息を飲んだ。

「雪野先輩!」

紀野君が上ずった声を出し、私は硬直したままDVDを握り締めた。

「かせ」
< 103 / 305 >

この作品をシェア

pagetop