恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
やたらと近いところで声がして、私は片眼だけをそっと開けた。

ベッドに寝そべっている私を、雪野先輩が見下ろしている。

夢じゃなかったみたいだ。

しかも勝手に入ってきてるしっ!

そりゃ私は居候だし先輩の家だけど、もしも裸で寝てたらどーすんのっ!

私は冷や汗の出る思いで先輩を見つめたけど、先輩はなんとも思ってないみたいで、

「今日は俺が先に行くから。それと美術教室には送ってやる。勝手に行くなよ」

は?

そういや、昨日もそんな事言ってたような……。

私はムクッと起き上がった。

「いい……。私ひとりで大丈夫」
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