恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「勉強なら俺がみてやる」

「えっ?!」

私はマジマジと雪野先輩を見つめた。

この人、勉強デキるの?!

賢いの?!

イケメン暴走族の分際で頭脳明晰なんて、一昔前の少女漫画の裏番じゃあるまいし。

……嘘なんじゃない?

取り敢えず、私を用事に付き合わせるだけ付き合わせて、デタラメ我流数学を叩き込む気じゃないでしょーね?!

「……なんだその眼は」

ハッ!

知らず知らずのうちに疑いの眼差しを向けていたらしく、雪野先輩は私を嫌そうに見た。

「勉強とか、デキるんですか?」

うわ、しまったっ!

心の声をリアルに発してしまった私を見て、雪野先輩はグッと私を睨んだ。

「いや、あの、その」

「いいな」

言うなり踵を返して部屋から出ていってしまった雪野先輩の背を、私はため息と共に見つめるしかなかった。
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