恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
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「夏本。お前、どうしたんだ。両目が恐ろしく腫れてるぞ。巨大ミミズでも見たのか?!」

始業チャイムと同時に教室にやって来た物理担当の学年主任が、私の顔を見るなり息を飲んだ。

その声に、クラスメイトが一斉に一番後ろの席の私を振り返る。

「きゃあ、瀬里、大丈夫?!」

「ヤバイぞ、冷やしてこいよ」

皆が心配する中、学年主任は続けた。

「俺も子供の頃、巨大ミミズを見たとたんに眼が腫れてなあ」

思春期ナメんなよ。

私はね、女子高生なのよ。

女子高生ともなれば日々色々あるんだっつーの。

失恋だよ、失恋!!

それも、何年も何年も想い続けた相手にだよ!?
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