恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
何が巨大ミミズよ、お前と一緒にすんなっ。

そんな暴言を吐けるわけもなく私は、保健室に行くことを勧めてくれた先生の好意に甘えて教室を出た。

……確かに瞼が重い。

泣きながら寝ると、こんなにも眼が腫れるなんて。

「失礼します……」

保健室のドアを開けてすぐ、私は後悔した。

だって……旬がいたから。

足首に真っ白な包帯を巻いた旬が椅子に腰かけ、ドアの開く音にこちらをフッと見たのだ。

咄嗟に私は立ち尽くした。

「先生なら、さっき出てったよ」

旬が気まずそうに口を開き、私はいたたまれずに身を翻した。
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