恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
見られたくなかった。

泣き腫らしたこの顔を見られちゃうなんて、なんて最悪なの。

今頃旬はきっと思ってる。

瀬里はこんなに泣き腫らすほど俺が好きなんだって。

真実だけど惨めで、知られたくなかった。

私は保健室を諦めると西側のトイレを目指した。

トイレでハンカチ濡らして冷やそう。

私は濡らしたハンカチを持ったまま少し引き返し、階段を一番上まで登ると屋上に続くドアを開けた。

途端に風が、めちゃくちゃに私の髪を乱した。

ここには容赦なく照りつける太陽を避ける場所もない。

もう、いいもん。
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