恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
日焼けなんか構うもんか。

私は屋上のコンクリートの上に仰向けに寝転がると、ハンカチを目の上に置いてハーッと息をはいた。

屋上って、結構静かなんだな。

考えるのは、旬の事ばかりだ。

冷静に考えたら私、一度も旬に好きって言われていない。

身体を引き寄せられてキスされた時だって、旬は私に『好き』だなんて言わなかった。

……バカだなぁ、私。

ハグだってキスだってその先のコトだって、私は好きな人としかしたくないし、みんなも好きな人とだけするものだと思ってた。

だから、てっきり旬もそうだと思ってたんだ。

バカだ、本当に私はバカだ。

幼い頃から好きだった旬にハグされてキスされて、私は幸せだった。
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