恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
『アイツ、昔から俺に惚れてるんだ。確実にヤれる』

再び涙が込み上げそうになって、私は思わず唇を噛んだ。

昨日、私は泣くだけ泣いた。

もう、泣かない。

旬はもう、私が大好きだった旬じゃなくなってただけ。

だから仕方ない。

呪文みたいに繰返し心で呟いていたその時、

「サボりかよ」

低くて艶やかな声がして、私は慌てて起き上がった。

「ほら。やるよ」

「……雪野先輩……」

雪野先輩は、キンキンに冷えたペットボトルを私に差し出した。
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