恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「これで冷やせ。少しは腫れがひく」

「……ありがとう」

雪野先輩は私に背を向けると空を仰いだ。

「……先輩もサボりですか」

「お前といっしょにすんな。
自習の小テストが終わった奴から図書室に移動可能」

……ここは屋上だっつーの。

内心突っ込みを入れながら、私は先輩の均整のとれた後ろ姿を見つめた。

「早く冷やせ」

「……はい」

私はペタンと地べたに座って、両目にペットボトルを押し当てた。

……気持ちいい。

「先輩。今日、先輩の用事に付き合えって仰ってましたけど、一体なんの用事ですか?」
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