恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
狙撃されるかもよ、アーチェリー部か弓道部にな。

そんな不幸な女は一体誰なんだ、可哀想に。

先輩は続けた。

「……その婚約者になってもらいたい。お前に」

グハッ!

な……何ですって?!

驚きのあまり手から滑り落ちたペットボトルが、ガコンとコンクリートの地面に転がる。

婚約者に、なる?!

私が?!

なんで!!

「もちろん形だけだ。人狼の王……若くして即位する王は、18歳になると『満月の儀式』を受けなきゃならない」

昨日慰めてもらった手前、そんなの独りで受けろとは言えず、私は眼を見開いて雪野先輩を見つめた。
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