恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
部屋は薄暗かった。

けれど近いところに男性が四人立っていて、その中のひとりは、私に声をかけてきたイケメンだった。

「翠狼(すいろう)様、この女、いかがなされますか」

なんとなくさっきの運転手の目元に似た男性が、イケメンに声をかけた。

どうやら私に声をかけてきたイケメンは、翠狼というらしい。

翠狼は私を鋭く見下ろしながら、小さく口を開いた。

「……殺せ。許嫁が死んだとなると、白狼は王になれない」

翠狼に問いかけた男性がニヤリと笑った。

「では……私が頂いても?」

翠狼が呆れたように笑った。

「好きにしろ」
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