恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
それなのに先輩は、鋭い眼差しで私を見据え、部屋に連れ込むなりキツい口調で訊ねた。

「翠狼に何を言われた?!」

「…………」

「答えろっ!」

「……分かんない……」

雪野先輩が、眉を寄せて唇を引き結んだ。

頭がモヤモヤするし、胸もムカムカする。

「話した筈なのに、分かんない……」

「瀬里」

ダメだ、気分が悪い。

地面がフニャリと凹んだような感覚がして、グラッと身体がよろけた。

途端に先輩に抱き止められる。

「おい」

「ダメ。気分が悪くて……」

「瀬里!」

ああ、私、多分どこかおかしいんだ……。

徐々に先輩の声が遠くなっていって、私は意識を手放した。
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