恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
愛華先輩が再びチッと舌打ちをした。

「あのブス、いつも私に張り合うのよ。雪野君を狙ってるのを、あからさまにアピールしてさ。ウザいったらないわ。この情報もアイツが紀野と契約して仕入れたらしいけどね」

会話の内容に息を飲む私を見て、先輩は鼻で笑った。

「……アンタみたいな地味系が好きだったなんて……雪野君って意外だわ」

いや、そうじゃなくて……。

私の心になんて気付かない愛華先輩は、こっちを見つめて言い放った。

「とにかく、別れてもらうから。私を騙した報いを受けてもらうわ。覚悟してよね」

騙した報い……。

私はどうしていいか分からず、身を翻して去っていく愛華先輩の後ろ姿を、ただ見つめるしかなかった。
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