恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
次回の美術教室で提出する予定だった画が、ビリビリに引き裂かれてロッカーの中に散乱していた。

嘘……でしょ……なんで。

なんで!?なんでよっ!?

部活棟のロッカーにしか、画の置場所がないから、私はいつもここに画を置いていた。

確かに鍵はないけど、今までにこんな事なかった。

……はっきりとは分からないけど、私と雪野先輩の関係を許せない人がやったんだ。

私は唇を噛み締めて、引き裂かれた画を胸に抱いた。

するとたちまち、描き始めた頃の気持ちや、苦労した箇所、完成した時の嬉しかった気持ちが込み上げてきて、ツンと鼻に痛みが走った。

涙が溢れてポトポトと床と散らばった画の上に落ちたけど、私にはそれが止められなかった。

悲しくて悔しくて仕方なかった。
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