恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
vol.1
full moonの受難
●●●●●●
「おい」
「きゃ!」
時間は午後3時30分。
全ての授業が終わり、部活棟へ向かおうとしていた私は急に腕を掴まれて、非常階段の踊り場で息を飲んだ。
咄嗟に見上げると、ひとりの男子生徒が唇を引き結んで私を見下ろしている。
長めの前髪から覗く切れ長の眼、通った鼻筋、精悍な頬。
どれもこれも整いすぎている。
同じ人間とは思えない。
……まあ、人間じゃないかも知れないけど。
てゆーかやっぱり……昨日のアレは……。
じゃないと、この端正な男前男子が私に声を掛ける訳がない。
私は、張り付いたように至近距離からこちらを見る彼……雪野翔(ゆきのしょう)を見上げた。
「おい」
「きゃ!」
時間は午後3時30分。
全ての授業が終わり、部活棟へ向かおうとしていた私は急に腕を掴まれて、非常階段の踊り場で息を飲んだ。
咄嗟に見上げると、ひとりの男子生徒が唇を引き結んで私を見下ろしている。
長めの前髪から覗く切れ長の眼、通った鼻筋、精悍な頬。
どれもこれも整いすぎている。
同じ人間とは思えない。
……まあ、人間じゃないかも知れないけど。
てゆーかやっぱり……昨日のアレは……。
じゃないと、この端正な男前男子が私に声を掛ける訳がない。
私は、張り付いたように至近距離からこちらを見る彼……雪野翔(ゆきのしょう)を見上げた。