恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
私はポカッと殴られた頭を撫でながら翠狼を見つめたけど、ふと我に返った。

そう言えば、翠狼……。

……車に乗せてくれるって事は……。

「翠狼……もしかして、助けてくれるの?」

私が翠狼を見上げながらそう尋ねると、彼は決まり悪そうに横を向いた。

「人狼王の件とは別だ」

……別……?

どういう事か尋ねたけど、翠狼はこの事についてはもう何も言わなかった。

代わりに、

「白狼の足取りはおおよそ見当がつく。ヤツは祠だ」

「祠って、あの竹林の中の?」

翠狼が軽く頷いた。
< 241 / 305 >

この作品をシェア

pagetop