恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
先輩は……先輩はどこなんだろう。

人が多すぎて分からない。

けど、みんな同じ方向を向いているから、その先にいるんじゃないだろうか。

いつの間にか翠狼の姿も見えなくなっていたけど、私は構わず人々の間を縫うように歩を進めた。

その時、

「白狼っ!王の座を辞退しろっ!お前のような未熟者を王に選ぶなど、天狼神も神でありながら耄碌(もうろく)したとしか思えん!お前の耳のその石は、もはやただの石に過ぎん!天狼神の魂など宿っているものか!」

鋭い声とその内容に、私の心臓は刺されたようにビクリとした。

先輩……先輩!!

早く、先輩を見つけたい。

その時、低い声が響いた。
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