恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「正当な決闘というのは、昔から俺達人狼族に許されている闘いの事だよ。立会人が派閥のリーダーもしくは、人狼族の中で一目置かれている人物なら、その決闘を許可する権限を持ってるんだ」

「決闘って、具体的には?!」

「そりゃあ、どちらかが闘えなくなるまでの決闘だ。時には命を落とす場合もある」

ダメよ、ダメだわ!!

私は再び人々をかき分けて先輩を探した。

「無駄だ、凰狼。お前は俺に勝てない」

再び先輩の声がした時、ようやく私は先輩を囲む集団の最前列へと出られた。

先輩……!

先輩は、私と別れたままのあの服装で、祠を背に立っていた。

何百人もの人狼が見守る中、先輩から数メートルの距離を取り、大柄な男性が威圧的な眼差しで先輩を見ていた。
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