恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
あれが多分……凰狼だ。

先輩より歳上……翠狼くらいだろうか。

凰狼の背後には彼の派閥のメンバーが控えていたし、先輩の後ろにもまた、先輩の仲間がびっしりと立っていて、凰狼派を睨み据えている。

どうしていいのか分からないのに焦るばかりで、私は思わず拳に力を込めた。

「我ら人狼の王は白狼だ!!文句があるならかかってこい!!」

振り返った先輩が、仲間の言葉を遮るように叫んだ。

「待て、お前達!」

先輩の制止を聞かず、再び白狼派のメンバーが叩きつけるように口を開く。

「天狼神を侮辱する真神(まのかみ)の末裔になど、負けはしない!!」

「なら、潔く決闘を受け入れろっ!翠狼はどこだ?!決闘の証人になれ!」
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