恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
『許嫁が死ねば、先輩は王になれないの?』

『許嫁が姿を消すということを、未熟さの表れと捉えられてしまうんだ。許嫁が死ぬなんて事態が起こると、俺の身体から石が去っていくかも知れない』


……《満月の儀式》に出席する許嫁が生け贄と呼ばれるのはもしかして……逆に言えば王の足枷になりえるからって事?

それを皮肉を込めて揶揄し、生け贄と呼ぶんだとしたら。

ああ、こんなところに来て、私はバカだ!!

先輩を助けるどころか足を引っ張ってしまうなんて……!

目まぐるしく考えたのは、ほんの一瞬だった。

だって、ニヤリと笑った凰狼が地を蹴り、私に飛び掛かってきたから。

「おお真神の恵みよ……!」

「きゃあああっ!」
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