恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「……っ!!」

痛さと恐怖で声が出ない。

信じられない……腕に爪が……!!

火で焼かれた鉄のように、凰狼の爪が熱い。

「うっ……!」

その時、急に喉が苦しくなった。

うそ、苦しい。

どうして?!

力が抜けていく。

私……もうダメなの?

「もう、お前の負けだ、白狼。お前の許嫁……瀬里は俺の毒爪に苦しみ、息絶えるだろう」

「凰狼!今すぐ瀬里を離せっ!」

先輩の怒鳴り声の後、凰狼が声にならない悲鳴をあげ、私を振り払った。
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